神経に対するイメージは?
神経と聞いたら、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
神経痛、ジンジン響く、触れると痛いなど感覚に関することや、運動神経のように体を動かす何かを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。中には自立神経を思い浮かべる人もいるかもしれません。
今回は痛みに関する話をしますので、この中でも感覚系の神経の話、特に神経を圧迫した時にどのようなことが起きるかを書いてみます。
- 中枢神経
脳と脊髄に分布した神経系の司令部- 体性神経
大脳新皮質(意識)に制御された神経- 運動神経
手足などの動きを制御する神経 - 感覚神経
感覚器官(目耳鼻など)からの情報を脳に伝達する神経
- 運動神経
- 体性神経
- 末梢神経
脳と脊髄から全身に分布した神経- 自律神経
古い脳(無意識)に制御された神経で、体内調整を行う- 交感神経
活動とストレスの神経で、脳・心臓などを活発化させ消化器の働きを制御する神経 - 副交感神経
大脳などを休ませる神経で、内蔵などの働きを亢進させるとともに脳・心臓などの働きを制御する神経
- 交感神経
- 自律神経
神経の圧迫が原因とされる症状
神経圧迫が痛みの原因としてよく挙げられる症状として、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症などがあります。
手術を薦められることも多い症状だと思うのですが、もし手術を薦められたとしても、少しだけ待ってください。
手術をする前に本当にその痛みの原因が、神経を圧迫していることによって起きているのか、少しだけ考えてみませんか?
神経の役割
神経の役割について考えてみます。
運動系の神経にしろ、感覚系の神経にしろ、神経の役割は情報伝達です。
私たちの身近なものに例えると、電気コードと同じような役割を担っています。
神経に電気が流れるとON、流れていないときはOFF。
このON、OFFで神経は情報を伝えています。
もし情報を伝えている最中に、隣の神経の情報が混じってしまったら、どうなってしまうでしょうか?きっと情報はめちゃくちゃになってしまいますよね。
そのため、神経は途中で他の情報が混じらないような作りになっています。
電気コードも、周りを囲っているゴムに傷がつかない限りは、いくら踏んだり、曲げたりしても、電気が外に漏れたり、隣のコードの電気が混ざることはないですよね?
同じように、神経も圧迫されたり少しくらい引っ張られても影響がないようになっているのです。
痛みを感じることができているのは、むしろ正常な証拠
私たちが感じている「痛み」と言う感覚も情報になりますので、痛みを感じているいうことは、その情報が神経を通ってきちんと脳まで届いているいうことです。
つまり、神経としては正常に働いているのです。
では、痛みという感覚はどこで発生しているのでしょうか?
体の中には痛みを感じることができるセンサーのようなものがあります。そのセンサーでキャッチされた痛みの情報が神経を通って脳へと送られ、痛みとして感じています。
この痛みの原因を解決しないと、いくら神経をいじったところで痛みは改善しないのです。
神経圧迫によって起きる可能性があるのは痛みではなく麻痺です。
もし、神経が断線するくらい圧迫されていたら、情報がきちんと脳まで伝わらなくなるので麻痺が起きます。この場合は急いで手術をする必要があるのですぐにドクターに相談してください。
実際に神経を圧迫してみたら
ここまで神経を圧迫しても痛みは生じないということをお伝えしてきましたが、そうは言っても本当に痛みを感じないのか気になりますよね?
実はバルーンカテーテルを利用して実際に神経を圧迫した人たちがいます。
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/pain-spinal.html
これは滋賀医科大学のHPなのですが、このページの「神経根性疼痛 radicular pain」の項目の部分に注目してください。
- 神経根痛は、脊髄後根の圧迫によって、後根の支配領域に出る症状。しかし、圧迫だけでは症状は出ない。
- 正常な脊髄神経の圧迫は痛みを生じさせない。
- 正常人の脊髄神経根をバルーンカテーテルを使って圧迫すると、paresthesia(錯感覚:触られた時などに感じるのとは少し異なる感覚)と感覚鈍麻が誘発されるが、痛みは誘発されない。縫合糸をかけて牽引しても痛みは誘発されない。
と書いています。
つまり、実際に神経を圧迫したり引っ張っただけでは、痛みは生じなかったということなのです。
痛みはなぜ生じるの?
痛みは神経が圧迫されて感じているのではなく、何かが痛みを発生させていて、その信号を神経が脳に伝えることによって感じているということは先ほどお伝えしました。
ということは、その痛みが発生している原因をさえ解決すれば良いと言うことになります。
痛みにも炎症による痛みや、血流不足による痛みなどさまざまあります。
ここで痛みについて書いてしまうと、長くなってしまうので、坐骨神経痛や、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、慢性的に感じている痛みの原因について知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
神経圧迫を取り除くその手術、ちょっと待ってください!
神経圧迫が原因だと言われて、手術を薦められているのでしたら、もしかするとその手術は必要ないかもしれません。
早急に手術を必要とする状態でしたら、ドクターはすでに手術に踏み切っているはずです。
もし、様子見、あるいはまだ手術をするかしないか自分で選択できる状態なのでしたら、一度私たちにご相談ください。