日常生活に支障が出るほどの痛みや生活動作に影響を与えるような可動域の制限の大きな要因の1つに筋拘縮があります。
硬く縮こまり続けた状態の筋肉(筋拘縮)をセラピストの徒手でゆっくりと丁寧に解き溶かすような感覚で筋拘縮を解除していくのが筋肉チューニングになります。
痛みを抱える方の多くはこの筋拘縮の状態が続くことで症状が出ていることが多いので、それを解除することは痛みの改善に繋がることが多いです。
ですが…
痛みの出現箇所の筋拘縮を解除しても痛みは少し減るが無くならない…
その時は症状が減るが仕事をしていると戻ってくる…
硬さの感じがスッキリしない…
中には上記のように普段の生活や仕事、スポーツなどによって筋拘縮が戻りやすい状態の方もいます。
そんな方に多いのは筋肉同士のバランスが悪い状態の方が多い傾向にあります。
諸説ありますが全身には640個の筋肉があると言われ、その筋肉同士がバランスをとることによりヒトの姿勢や動作に影響を及ぼしています。
骨格構造を適切に効率よく使用しての骨ベースの動きは筋肉に負荷をかけすぎず動くためのリアクティベーションはとても重要な概念になります。
今回はそのバランスを考える上で重要な『テンセグリティ(tensegrity)』の概念を紹介します。
テンセグリティ(tensegrity)とは?
バックミンスター・フラーによって提唱された概念で、tension(張力)と integrity(総合)とを組み合わせた造語になります。
上記の図はテンセグリティ模型で木の棒とゴムで作られています。
この構造で立ち続けることができ、1ヶ所押しても全体が微妙に動くことでバランスをとり立ち続けることができます。
テントや建築物にはよく利用される構造システムで人体もこれと同じ構造という考えがあります。
筋拘縮と筋膜
木の棒を「骨」、ゴムを「筋膜」に例えてヒトの體をみていくという分野もありますが、筋膜の考え方はそれこそ諸説あり広義の意味で「筋肉を覆う薄い膜」が筋膜(fascia)という考えもあり筋肉の状態に大きく影響を与えます。*骨や各臓器も包んでいる結合組織の総称とも言われます
筋膜をボディスーツのようなものと表現する考え方もあります。
だからこそ一部分の強い滞りや強い硬さの影響が別の箇所に影響を及ぼすことがあります。
筋拘縮は別の箇所への影響を引き起こすことがとても高い可能性があります。
筋肉同士のバランスが悪い状態というのは痛みの出現箇所に間接的に影響及ぼしている強い筋拘縮により、姿勢や動きのバランスが悪くなり痛みの出現箇所により負荷がかかることで筋拘縮を助長させてしまっているような状態です。
長引く症状やすぐに筋拘縮が蓄積してしまうといった方は筋肉同士のバランスを調律、調整するようなアプローチが必要になると思います。
多くの筋拘縮によって痛みが出ている方をみさせてもらった経験上ですが、強い筋拘縮の解除はセルフケアでは難しいことが多いです。
体の奥深くにある筋肉の硬さや数多くの筋肉に筋拘縮がある、筋肉が硬く押しても感覚が鈍く痛みを感じない等の場合です。
この痛みの出現箇所の筋拘縮の解除はもちろん重要です。
ですが、今回のように筋肉同士のバランスの悪さから筋拘縮を助長させる可能性があります。
テンセグリティの概念を知ると知らないでは痛みに対する向き合い方や改善までの過程が大きく変わっていきます。
こんな体の箇所が影響を及ぼしていたんだ…
普段の生活の動きの偏りが影響していたのかもしれない…
【筋拘縮】を解除することが長続きする痛みを根本から改善に導く鍵になりまます!
自分の筋肉の硬さがどんな状態になっているのか?硬さが長引くことや動きへの影響はこんな箇所から?筋肉の変化と状態や症状の変化を自覚できることがとても重要ですが、ご自身でわからないこともとても多いです。
自分の筋肉や体の状態を把握するためにも一度、専門家に相談するのも必要かもしれません!