え?筋肉を緩めれば学校に行ける?何で?
こんな風に思う方も多いと思います。
今回書かせていただいたのは5ヶ月以上の不登校から、【筋拘縮の解除】によって登校された児童の話になります。
『自律神経を整えたいなら、筋肉チューニングという施術が良いんじゃない?』という保護者のご友人から勧められ来店されたAさん。
Aさんは学校に行けない日がすこしずつ増え、流行性感冒の治癒後から更に起きれない、やる気が起きない、イライラするなどの症状で登校することが出来なくなってしまいました。
自律神経を整える
以前から自律神経の不調で来店されるお客様はいましたが、成人女性の割合が多数を占めていました。
文部科学省の発表にもありますが、コロナ禍からこういった症状の児童が多くなっていることから、当サロンにも来店が多くなっていました。
自律神経の役割
自律神経の不調といっても、症状はさまざまです。
また自律神経は筋肉を動かす運動神経と違い、私たちの意思とは無関係に「自律」して体の臓器をコントロールしています。
例えば、心臓の鼓動のスピード、食べ物を消化、ホルモンを分泌するなどは自律神経の働きによるものになります。
心臓を動かそうと思って動かしてはいませんよね?
このように自律神経は意思が関係するものではありませんし、生体の恒常性(ホメオスタシス)の維持に重要な役割を果たしています。
呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生きていく上で欠かせない生命活動を維持するために24時間365日、休むことなく働き続けています。
ここで注目していきたいのが、血流の調整になります。
交感神経が優位になりすぎる状態では、血管が収縮している状態が長く続くことで血流が悪くなります。
そして、副交感神経が優位になりすぎる状態では、血管が収縮せず血流が悪くなります。
このように、血管の収縮と弛緩の調整がうまくいかないと、血流が悪くなり酸素や栄養素など
が筋肉や内臓などに届きにくい状態になります。
また、血流以外にも日常生活で多くの方が質を上げたいと感じている『睡眠』に自律神経は深い関係があります。
〜自律神経の役割
睡眠とストレスの親密な関係〜
睡眠とストレスの親密な関係
不登校
文部科学省の発表にもありますが、コロナ禍以降、実際に自律神経に悩まされる児童が増えているとお伝えしました。
どのような状態になっているのでしょうか。
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_2.pdf不登校文部科学省によりますと、約10年間で不登校は倍以上に増えており、なかでも過去最多を記録した2021年度は、前年度から約5万人増と急激な増加見せています。
その後も増加し続けており、コロナ禍による臨時休校やさまざまな制約により、生活リズムの乱れやすさ、無気力や不安などを抱きやすさなどが多い状況。
2023/10 文部科学省 令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要P21,P24参考
「学校に行きたくない」
「イライラする」
「起きれない」
「やる気がおきない」
このようなことはお子さまだけではなく、大人の私たち誰もが経験することではないでしょうか。
ヒアリングを通して共通していたことは
・生活リズムが崩れている
・眠れない
・就寝時が遅くなることで起床時間も昼を超える
・スマホやオンラインゲームなどを深夜まで利用している
・外に出ることが少ない
・お菓子やジュースなどを摂取している
一般的にこのような兆候が見られると不登校の可能性が高くなると記されています。
また不登校と一言で表していますが、6段階に分けられています。
この段階を一つずつ経て進んでいくこともありますが、行ったり来たりを何度も繰り返したり、また段階を飛ばして進んでいくこともあります。
Aさんのケースでは身体に強い痛みが出るといった症状はありませんでした、また2回目の施術でのヒアリングでは罪悪感もない状態でしたので安定期に差し掛かっていたのではないかと考えます。
お子様によって、どのように進んでいくかなどは様々なので目安程度に捉えていただければと思います。
現在はスマートフォンやPC、オンラインゲームなどの利用から部屋に篭もりがちになるといったケースが多くみられます。
起立性調節障害
朝起きれないという症状が出ている方の中には、SNSやゲームなどを深夜までしていて起きれないということも関係していますが、起立性調節障害という診断を受けている方も多くいらっしゃいます。
また診断されていなくても、同じような症状が出ているケースが多くあります。
個人によって症状も様々ですが、起立性調節障害は不登校の原因になることがあり、不登校児の約3〜4割がこういった診断を受けているとも言われております。
それは何故起こるのでしょうか。
〜成長期に多い起立性調節障害は栄養不足から??子どもの體と心を整える〜
ポリヴェーガル理論
ボリヴェーガル理論というのを聞いたことがあるでしょうか。
前述で自律神経には交感神経と副交感神経と二つに分かれるとお伝えしてきましたが、この副交感神経が更に二つに分かれているという考え方になります。
〜成長期に多い起立性調節障害は栄養不足から??子どもの體と心を整える〜
学校へ行けなくなっているお子さんは、身動きを止めている状態で交感神経がアクセル全開の状態です。心の焦りや不安で興奮モードになっています。学校に行きたくても行けないのは気持ちの問題ではなく自律神経によって体が正しく反応しているんだなと理解してあげましょう。
〜成長期に多い起立性調節障害は栄養不足から??子どもの體と心を整える〜より引用
このような状態の理解を得ることが難しい現状ではありますが、一番本人が理解し難いのではないでしょうか。
1994年にアメリカの神経科学者であるスティーブン・ポージェス(Dr. Stephen Porges)博士によって提唱された自律神経の機能に関する新しい理論です。
またポリヴェーガル理論によると従来、自律神経は活動的なときに働く交感神経と、リラックスするときに働く副交感神経の2つから成ると考えられていましたが、ポリヴェーガル理論では、生物の進化や神経の発生の観点から副交感神経がさらに「背側迷走神経複合体」と「腹側迷走神経複合体」とから成り立っていると考えます。
この腹側迷走神経複合体は、交感神経系、背側迷走神経系による原始的な防衛反応を抑制するブレーキ機能と、人と人との関わりを司る脳神経系との複合体と考えられ、人間の最も適応的な状態である「社会的関わりシステム」を司っているとされています。
これらの連動、協働によって、人は人と関わることで落ち着き、表情や声を柔らかくし、「安心」や「安全」「やすらぎ」を覚えることができると言います。
ストレスと筋肉の関係
筋肉にとってのストレスというと、直接負荷がかかるトレーニングをイメージしやすいですが、この他にも精神的ストレスや環境によるストレス、栄養不足、睡眠不足など数多くのストレスとも関係します。
私たちの体はこういった様々なストレスがかかると、ストレスに対抗するホルモンを分泌します。
その中でも代表的な副腎ホルモンのコルチゾールという抗ストレスホルモンが、筋肉にも関わっています。
主なコルチゾールの働き
・ストレスを感じると、交感神経を優位にし血圧を上昇させ脳を覚醒させます
・糖新生と呼ばれる筋肉中にあるタンパク質を分解アミノ酸にし肝臓でブドウ糖に作り替え、血糖値が低下している時に血糖値を上昇させます
・脂肪を分解しエネルギー不足にならないようにします
・慢性の炎症(アレルギー)や過度の炎症が起こっている時に、コルチゾールが分泌されることで炎症や免疫機能を抑える働きをします
こういった時の身体の状態は交感神経が優位になっているので、筋肉も緊張(収縮)しているような状態になります
またコルチゾールが多く分泌されることで筋細胞内のタンパク質が分解され、筋肉が減少したり筋力低下をおこすことが研究によりわかっています。
このようなことから、全身の筋肉が硬くなり血流が悪い状態になっていきます。
また血流が悪いということは、酸素をはじめ身体にとって必要栄養素が各器官に届きにくい状態であることから、更に筋肉が硬くなり悪循環に陥っていきます。
筋肉を緩める施術
硬くなった筋肉を緩めることで、筋肉に弾力が戻り血流を促進させ酸素をはじめ栄養を届けます。
Aさんのケースだけではなく、ご来店いただいたお客様には食生活も伺います
・添加物が多いものは控えている
・パンは国産小麦を使用してホームベーカリーで作る
・ミネラルなども摂取出来るように普段から氣をつける
食事において重要な部分は基本的に理解されておりましたが、ご兄弟の影響もあり、幼少期からお菓子(グミなど)や炭酸飲料などを好むことが多く、友人同志でジャンクフードを食べる回数が多くなってきていたそうです。
腸内環境が自律神経にも関係し、消化酵素もタンパク質であることや筋肉や神経に必要な栄養素を摂取するということから『琉球モリンガ配合たんぱく』を摂取することで、たんぱく質が消化吸収し筋肉をはじめ身体の機能が回復していきます。
保護者の方もイライラした時は甘いものを食べることもあったということで、『琉球モリンガ配合たんぱく』を一緒に摂取していただくことになりました。
大腰筋を緩める理由
腹腔大動脈、静脈が近くにある大腰筋、鼠蹊部など股関節周りを緩め、血流を促進させていきます。
二分割にして左側は大腰筋になり分かりやすいように青くし、右側の大腰筋に近い箇所に腹腔大動脈があります。
この大腰筋が硬くなるということは、筋繊維は収縮し太く短い状態になり血流を阻害するということがイメージ出来るのではないでしょうか。腹腔大動脈や静脈の流れが悪くなると内臓への血流も悪くなり機能低下に繋がります。
また迷走神経は延髄から頭蓋を出て頭頸部に分布し胸部、腹部に広く分布しています。
自律神経が乱れるということで眠れないという方も多いのですが、こういった場合は交感神経が優位になっています。
交感神経が優位になっている状態の時は、血管を収縮させ筋肉が硬くなり瞳孔が開く、血圧を上げるなど興奮しているようなイメージをしていただければ分かりやすいかもしれません。
そこで、筋肉を緩めると血流が促進され筋肉が柔らかくなり、内臓への血流も促進、副交感神経が優位になることで、リラックスした状態になり眠くなっていく方や、腸の動きが促進されキュルキュルと音が出る、温かくなるなど筋肉の変化を起こし、自律神経が切り替わるようにしていきます。
2回目の施術ではスマホを見る動作が多くなっていたこともあり、肩に左右差がでていましたので、腹部や肩首周りの施術を行うことで血流を促進させていきます。
自律神経の不調を訴える方の多くは身体の歪みがあるという声も多く、Aさんも後頭部から首や肩、骨盤と左右差が出ていました。
お手伝いなど自発的な行動が出たり、定期的に本を読みに外出出来るようになります。
また起床時間の変化もあり、13時だった起床時間が10時になり便通も良くなります。
Aさんのケースでは精神的なストレスもあったとは思いますが、成長期における栄養素の不足や流行性感冒などにより腸内環境の悪化も考えられます。
・腸内環境を整える
・タンパク質を摂取する
・血流を促進する施術を受ける
これらを軸に日々少しづつ少しづつ出来ることを増やしたりすることで、変化していきました。
今回のAさんのように、すぐ変化が現れない場合もあるかもしれませんが、お子さまもご両親も、ご自身を責めないでいただきたいのです。
ストレスを感じることは人間関係はもちろんですが、必要栄養素の不足により加速します。
現在は身体に必要な栄養素を摂取していても、それ以上に負担をかけてしまう食品などが多く存在しています。
成長期のお子さまに関しては、大人より多くの栄養素が必要になっていることから、身体に影響しやすいと考えます。
また標準医療が見逃している筋肉がロックして硬く縮こまった状態【筋拘縮】の概念と筋拘縮を解除する徒手技術【筋肉チューニング】を知る方が増えることで、少しでもお困りの方のきっかけとなり、お子さまはもちろんですが、ご両親にも健康に過ごしていただきたいと思います。